- カテキンは脂肪をわずかに燃やす。1年の試験で体重は減らず。
- 血圧の上の数字が約2下がるという集計はある。
- 勃起・性欲・精子を人で測った試験は見当たらない。
- 血流側は別ルート。シトルリンなど1成分ごとの配合量で見る。
「脂肪を燃やす」「テストステロンにいい」「前立腺を守る」。緑茶はこう語られてきました。2026年9月時点で実在を確認した論文だけを並べます。
男ラボが見るのは4つの軸です。緑茶の場合、研究の厚みは軸ごとにまったく違います。
| 軸 | 緑茶での研究の厚み |
|---|---|
| ① 勃起コンディション | 動物実験のみ。人で測った試験は無い |
| ② 性欲・性生活 | 男性を調べた研究が見当たらない |
| ③ 活力・エネルギー | 飲んだ直後の眠気・集中なら試験がある |
| ④ 射精・精子 | 試験管と動物のみ。飲んだ試験は無い |
緑茶で厚い根拠があるのは血圧と脂質の側。
男性機能の4軸は、どれも人での試験が足りていない。
緑茶のカテキンって何?

緑茶に多いポリフェノールの一群がカテキンで、その主役がEGCG(エピガロカテキンガレート)です。緑茶の健康効果とされるものの多くは、このEGCGの話です。抗酸化のほか、脂肪の代謝や血管への影響が調べられてきました。
湯のみの緑茶と高濃度カテキンエキスは別物です。EGCGを何百mgも濃縮した製品は、効果もリスクも変わります。
| 項目 | 湯のみの緑茶 | 高濃度エキス |
|---|---|---|
| 1回のEGCG量 | 数十mg程度 | 200〜800mg |
| 主な目的 | 日常の飲み物 | 脂肪燃焼をうたう |
| 肝障害の報告 | ほとんど無い | 主要な原因とされる |
| 空腹時の注意 | 不要 | 吸収が高まり要注意 |
同じカテキンでも、お茶とサプリでは桁がふたつ違う。
この記事はその2つを分けて読む。混ぜると判断を間違える。
脂肪は本当に燃える?

脂肪の酸化は穏やかに上がります。ただし1年の試験では体重も腹まわりも減りませんでした。この2つは別の話です。
EGCGが脂肪の酸化とエネルギー消費を高めることは、メタ分析(いくつもの研究をまとめて一つの結論を出す方法)でも示されています。ただし効果の大きさは「中等度から穏やか」でした。
- EGCGとエネルギー消費・脂肪酸化のメタ分析(2016) PMID: 27883924 確度 高
- 緑茶カテキンの抗肥満作用に関する総説(2011) PMID: 21115335 確度 参考
問題は、その代謝の変化が体重に届くかです。前立腺がんのリスクが高い男性に、カフェインを抜いた緑茶エキスを1年飲んでもらった試験があります。EGCGは1日400mg。体重・BMI・ウエストヒップ比のどれも動きませんでした。
- 緑茶エキス1年投与の体重への影響(2017) PMID: 29228755 確度 高
代謝の数値は動くが、1年後の体重計は動かなかった。
脂肪燃焼をうたう製品は、この差をまたいで語られやすい。
血圧や血管にはどう働く?

ここが緑茶のいちばん厚い領域です。血圧の上の数字が約2下がる、という集計があります。
緑茶カテキンと血圧を調べた試験を集めたメタ分析では、収縮期血圧(血圧の上の数字)と拡張期血圧(血圧の下の数字)がどちらもわずかに下がりました。収縮期でおよそ−2mmHg程度です。
- 緑茶カテキンと血圧のメタ分析(2014) PMID: 24861099 確度 高
−2mmHgは、上の数字が120の人なら118になる計算です。体感できる差ではなく、集団で見てはじめて意味が出ます。
機序としては、血管内皮(血管のいちばん内側をおおう膜)の働きが関わるとされます。この膜は一酸化窒素(血管をゆるめて広げる物質、略してNO)を出します。カテキンは抗酸化の作用で、酸化ストレス(体がサビつくような状態)によってNOが壊されるのを減らす方向に働くと考えられています。
ただし、これは血管の土台を穏やかに支える話です。血流を材料側から狙う設計は別ルートになります。NOの材料になるアミノ酸として研究されてきたのは、シトルリンやアルギニンです。詳しくは一酸化窒素を自然に増やす方法へ。
| 指標 | 報告された変化 | つまり |
|---|---|---|
| 血圧の上の数字 | およそ−2mmHg | 120が118になる程度 |
| 血圧の下の数字 | わずかに低下 | 同じく体感は難しい |
| 中性脂肪・HDL | 改善の報告あり | 太りぎみの人で見えやすい |
血圧と脂質には、方向のそろった報告がある。
ただし幅は小さい。血流を材料から狙うなら成分と配合量は別で見る。
勃起コンディションの研究は?

人で勃起を測った緑茶の試験は、2026年9月時点で見当たりません。あるのは動物実験です。
いちばん詳しいのは、老齢ラットにEGCGを与えた2017年の研究です。40匹を4群に分け、体重1kgあたり0mg・10mg・100mgを12週間投与しました。陰茎の海綿体神経を電気で刺激し、海綿体内圧を測っています。EGCG群では、この圧と全身血圧の比が高くなりました。
仕組みとしては、ADMA(体内でNOづくりを邪魔する物質)が減り、それを分解する酵素の働きが上がったと報告されています。邪魔者が減った、という筋書きです。
もう1つ、カテキンの多い飲料を老齢ラットに6か月与えた研究もあります。勃起にかかわる組織で、血管をつくる指令のたんぱくの出方が変わりました。
- Chen D, et al.(2017)老齢ラットのEGCGと勃起機能 Asian J Androl PMID: 27080477 確度 参考(動物)
- 老齢ラットの勃起組織とカテキン飲料(2009) PMID: 19424845 確度 参考(動物)
体重1kgあたり100mgは、70kgの人なら7,000mgです。日常で飲む量とは桁が違います。
ラットでは海綿体の内圧が上がったが、人では測られていない。
血流を狙うなら、人での試験がある成分を1成分ごとのmgで見比べる。
性欲や性生活の研究は?

緑茶と男性の性欲を調べた質の高い研究は、探しても見当たりませんでした。ここは空白です。
2013年に、茶の摂取と性行動を論じた仮説の論文が出ています。著者自身が「習慣的な摂取と性行動を調べた研究は無い」と書いています。触れられているのは高血圧の女性患者の調査で、男性のデータではありません。
- 茶の摂取と性行動に関する仮説論文(2013) World Journal of Hypertension 確度 関連(仮説)
性欲はひとつの飲み物で説明できません。睡眠・体重・ストレス・服薬が絡みます。原因の候補を順に潰すほうが近道です。整理は男性の性欲低下の原因へ。
| 調べた対象 | あるもの/無いもの |
|---|---|
| 男性の性欲 | 質の高い研究が見当たらない |
| 男性の性生活の満足度 | 同じく見当たらない |
| 女性(高血圧患者) | 関連を述べた調査の言及がある |
性欲の軸に、緑茶の答えは無い。
埋めるなら別の尺度から。睡眠・体重・服薬を見直し、必要なら検査で測る。
活力やスタミナはどう?

「飲んだ直後の眠気と集中」なら、緑茶の成分で試験があります。夕方までの持ちを測った研究ではありません。
緑茶にはカテキンのほかにテアニンというアミノ酸が入っています。44人にテアニン97mgとカフェイン40mgを飲んでもらった試験では、自己申告の眠気が下がりました。注意を切り替える課題の正確さも上がりました。
11件の試験を集めたメタ分析でも、両方を一緒に摂った条件で、服用後2時間までの覚醒度に中程度の効果が見られました。効果の大きさは、テアニンよりカフェインの量に連動していました。
- Giesbrecht T, et al.(2010)テアニンとカフェインの併用 Nutr Neurosci PMID: 21040626 確度 中
- Camfield DA, et al.(2014)茶成分の急性効果のメタ分析 Nutr Rev PMID: 24946991 確度 高
ここで尺度を確認します。測ったのは飲んで2時間以内の注意と気分です。「夕方まで体が持たない」という悩みとは別の物差しになります。一日の疲れにくさを緑茶で測った試験は見当たりません。めぐりの側には血圧・脂質の集計があります(前の章)。
| 何を測ったか | 結果 | 日常への距離 |
|---|---|---|
| 飲んで2時間の眠気・集中 | 改善の報告あり | 近い(その場の話) |
| 一日の疲れにくさ | 測った試験が無い | 未検証 |
| 血圧・脂質 | 穏やかな変化の集計あり | 測定値の話 |
効いたのは飲んだ直後の眠気と集中で、一日の持ちではない。
日常の活力を狙うなら、成分ごとの量とタイミングが開示された設計で見る。
精子や妊活との関係は?

人が緑茶を飲んで精液所見が変わったという試験は見当たりません。報告があるのは試験管と動物です。
いちばん人に近いのは、ヒトの精子を凍らせるときの実験です。凍結保存液に緑茶エキスを加えると、解凍後の運動率とDNAの傷つきにくさが保たれました。ただし体外で直接ふれさせた条件で、飲んだ話ではありません。
ラットに緑茶を飲ませた研究では、精子の濃度と生存率が上がりました。肝臓や腎臓への悪影響も見られていません。ただしラットと人では代謝も量も違います。
- 緑茶エキスをヒト精子の凍結保存液に添加(2021) Asian J Androl PMID: 33154201 確度 参考(体外)
- 緑茶ポリフェノールと生殖能力の総説(2018) Nutrients PMID: 29954124 確度 関連
- ラットへの緑茶投与と精子濃度・生存率(2020) PMC7498455 確度 参考(動物)
- 濃度による差(体外・家畜精子、2025) PMID: 42227045 確度 参考(体外)
精子の話は、いまのところ体外と動物にとどまる。
妊活なら順番が逆。まず精液検査で自分の数字を測るほうが早い。
テストステロンは上がる?

上がると示したヒトの試験は見当たりません。むしろ、1年かけて性ホルモンを測った大きな試験で、値は動きませんでした。
その試験では1,075人に、カテキン1,315mg(うちEGCG 843mg)またはプラセボ(見た目は同じで中身が入っていない偽物)を12か月飲んでもらいました。テストステロン、SHBG、ほかの性ホルモンにも、有意(偶然では説明しにくい差)な変化はありませんでした。
- 緑茶カテキンエキス12か月と性ホルモン(2019) J Nutr PMID: 30926986 確度 高
対象は閉経後の女性でした。男性で同じとは言えません。ただ843mgを1年続けても動かなかった事実は、期待の上限を教えてくれます。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 人数 | 1,075人 |
| 用量 | カテキン1,315mg/EGCG 843mg |
| 期間 | 12か月 |
| 結果 | 性ホルモンに変化なし |
| 限界 | 対象は閉経後女性 |
高用量を1年続けても、性ホルモンの数字は動かなかった。
ここは緑茶の担当ではない。狙いが活力なら、量が開示された設計で選ぶ。
前立腺のPSAは動く?

PSAに意味のある変化は認められませんでした。「緑茶は前立腺を守る」という話は根強く残っています。
PSA(前立腺特異抗原。前立腺の状態を映す血液検査の数値)を調べた試験を集めた解析では、緑茶による変化は確認されませんでした。前立腺がんの予防でも、観察研究では関連が示唆される一方、飲んでもらう試験の結果は一貫しません。
- 緑茶とPSAのメタ分析(2021) PMID: 33400976 確度 高
前立腺の不調や検診は、緑茶任せにせず医療機関で対応するのが筋です。
PSAの数字は、緑茶では動かなかった。
気になる年代なら、飲み物ではなく検診の受診間隔を決めるほうが実益がある。
高濃度サプリと肝障害

効果の話より先に知るべきなのが、この安全性の問題です。高濃度カテキンのサプリには、肝臓を傷める報告があります。
米国では、緑茶エキスがハーブ・ダイエットサプリによる肝障害の主要な原因とされています。薬局方(USP)の総説がまとめました。急性の肝障害を起こした症例報告もあります。
- 緑茶エキスの肝毒性に関するUSP総説(2020) PMID: 32140423 確度 関連
- 緑茶エキスによる急性肝障害の症例報告(2022) PMID: 36523867 確度 関連
高用量のEGCGは、条件によっては逆に酸化を進めると考えられています。空腹時やダイエット中は吸収が高まります。「食事を減らしつつ高濃度カテキンを飲む」。これがいちばん危ない使い方です。
- 飲む緑茶と高濃度エキスは別物:リスクの桁が違う。
- 高用量エキスは肝障害の報告あり:倦怠感・黄疸・濃い尿があれば中止して受診。
- 空腹時・ダイエット中の高用量は要注意:吸収が高まる。
- 脂肪燃焼を狙った増量は避ける:効果は穏やか、リスクは実在。
- 持病・服薬中は医師に相談:飲み合わせも確認する。
体にいいはずの緑茶で、肝臓を傷めた報告が積み上がっている。
分かれ目は量。ラベルのmg表示を見て、空腹時の高用量は避ける。
よくある質問
### 緑茶カテキンは脂肪を燃やしますか?
脂肪の酸化を穏やかに高めるという集計はあります。ただし1年の試験では体重も腹まわりも減りませんでした。「燃える」と「痩せる」は別の話です。
### 勃起や性欲には関係しますか?
人で測った試験が見当たりません。勃起については老齢ラットでの報告があるだけです。性欲にいたっては男性を調べた研究そのものがありません。
### 妊活中に緑茶を飲んでも大丈夫?
ふつうに飲むぶんに問題を示す根拠は見当たりません。精子への効果をうたう根拠も同じく人ではありません。妊活中なら、飲み物を変えるより精液検査で現状を測るほうが先です。
### 高濃度カテキンサプリは安全ですか?
注意が必要です。緑茶エキスはハーブ系サプリによる肝障害の主要原因とされ、急性肝障害の症例報告もあります。空腹時やダイエット中の高用量はとくに避けてください。
お茶はそのまま飲めばいい。判断が要るのは濃縮サプリだけ。
迷ったら、1日のEGCGが何mgになるかをラベルで数える。
まとめ
緑茶の実力は血圧と脂質の側にあり、男性機能の4軸では人の試験がまだありません。これが2026年9月時点のフェアな全体像です。
勃起はラット、精子は体外と動物、性欲は研究自体がありません。厚いのは血圧と脂質、そして高用量エキスの肝障害の報告です。
緑茶は「飲めば痩せてテストが上がる万能成分」ではありません。日々の飲み物としては理にかなった習慣です。目的が男性機能そのものに寄るなら、1成分ごとのmgの開示が比べる基準になります。
緑茶の担当は血圧と脂質。男性機能の4軸はまだ空白が多い。
目的が変わるなら物差しも変える。1成分ごとの配合量で見比べる。
参考文献
- EGCG and energy expenditure / fat oxidation: systematic review & meta-analysis. 2016. PMID: 27883924 — 脂肪酸化は中等度〜穏やかに上昇。
- Decaffeinated green tea extract and body weight: 1-year randomized trial in men at high risk for prostate cancer. 2017. PMID: 29228755 — EGCG 400mg/1年。体重・BMI・ウエストヒップ比に変化なし。
- Green tea and prostate specific antigen (PSA): meta-analysis of randomized trials. 2021. PMID: 33400976 — PSAに意味のある変化なし。
- Green tea catechins and blood pressure: meta-analysis of randomized trials. 2014. PMID: 24861099 — 収縮期でおよそ−2mmHg。
- Hu J, et al. USP review of the hepatotoxicity of green tea extracts. 2020. PMID: 32140423 — サプリ由来肝障害の主要原因。
- Green tea extract-associated acute liver injury: case report. 2022. PMID: 36523867 — 急性肝障害の症例。
- Chen D, et al. EGCG ameliorates erectile function in aged rats (PRMT1/DDAH/ADMA/NOS). Asian J Androl. 2017;19(3):291-297. PMID: 27080477 — ラット40匹、0/10/100 mg/kg、12週。
- Green tea and VEGF expression in aged rat erectile tissue. 2009. PMID: 19424845 — 老齢ラット、カテキン飲料6か月。
- Giesbrecht T, et al. L-theanine and caffeine combination. Nutr Neurosci. 2010;13(6):283-290. PMID: 21040626 — 44人、テアニン97mg+カフェイン40mg。
- Camfield DA, et al. Acute effects of tea constituents: meta-analysis. Nutr Rev. 2014;72(8):507-522. PMID: 24946991 — 11試験。服用後2時間の覚醒度に中程度の効果。
- Green tea extract as a cryoprotectant additive for human spermatozoa. Asian J Androl. 2021. PMID: 33154201 — ヒト精子・体外。
- Roychoudhury S, et al. Green tea polyphenols and fertility: a review. Nutrients. 2018;10(7):834. PMID: 29954124 — 総説。
- Green tea consumption and sperm concentration/viability in male rats. 2020. PMC7498455 — ラット。
- Green tea extract and catechin hydrate on sperm quality: in vitro study in rams. 2025. PMID: 42227045 — 低〜中濃度で運動率上昇、高濃度で悪化。
- Safety of one-year administration of green tea catechins: randomized trial. PMC5340117 — 1年投与の安全性。
- Samavat H, et al. Green tea catechin extract and circulating sex hormones: randomized trial. J Nutr. 2019;149(4):619-627. PMID: 30926986 — 1,075人、EGCG 843mg、12か月。性ホルモンに変化なし。
- A hypothesis on the relationship between tea drinking and sexual activity. World J Hypertens. 2013;3(4):32. 全文 — 習慣的な茶の摂取と性行動を調べた研究は無いと記載。
※本記事は研究知見の一般情報です。診断・治療や特定商品の効能を目的とするものではありません。高濃度カテキンサプリには肝障害の報告があります。症状がある場合や検査・治療の判断は、医療機関にご相談ください。






