カフェイン・コーヒーと勃起・血流・テストステロンの関係|混在する研究を正直に整理【2026年最新】
「コーヒーは勃起にいいらしい」——この話は、半分ほんとうで、半分あやしい。 実際、研究の結果は方向がバラバラで、しかも「飲みすぎると逆効果」という顔も持ちます。ネットの断定を鵜呑みにする前に、まず何が分かっていて、何が分かっていないのかを、30秒で。
なぜ「勃起・血流」の話に、コーヒーが登場するのか
勃起は、性的刺激をきっかけに陰茎の海綿体という”スポンジ”へ血液が一気に流れ込むことで起こる、いわば血流イベントです。その引き金を引くのがNO(一酸化窒素)という体内の伝令物質で、NOが出ると海綿体の平滑筋がゆるみ、血管が広がって血液が満ちます。だから「血流に効きそうなもの」はすべて、勃起の話題に引き寄せられます。コーヒー(カフェイン)もそのひとつ——目が冴える、血圧が上がる、心拍が速くなるといった”体が起きる”感覚から、「なんとなく精力にも良さそう」というイメージが独り歩きしてきました。
しかしイメージと科学は別物です。カフェインは確かに強い生理活性を持つ物質ですが、その作用は「血管を広げる」「狭める」「テストステロンを上げる」「下げる」——研究によって向きがバラバラで、単純な結論を許しません。この記事は、その”混ざり合った研究”を、良い報告も悪い報告もフラットに並べて整理します。
この記事で扱う「混ざり合った研究」の全体像
細かい数値の前に、要点を一望できるよう整理します。“良い方向”と”悪い方向”が同居しているのが、このテーマの正体です。
| 論点 | 要点(詳細は各セクション) |
|---|---|
| コーヒー摂取とEDの疫学 | ある横断研究では摂取が多い層でEDが少ない傾向(Lopez 2015)。一方、大規模な前向き研究では関連なし(Lopez 2018)、コホートのメタ分析でも関連なし(Karimi 2024)。方向は一貫しない |
| カフェインの急性作用 | 直後に血圧を一時的に上げる(メタ分析で収縮期+1.94mmHg:Clin Nutr ESPEN 2023)。ただし内皮依存の血管拡張はむしろ増強との報告も(Umemura 2006)確度 高(BPはメタ分析) |
| 習慣的なコーヒー | 長期の観察では高血圧リスクは増えず、むしろ僅かに低い傾向(Xie 2018)。”急性の一過性上昇”と”習慣的影響”は別問題 |
| テストステロン/コルチゾール | 高用量の運動時介入で両者が一過性に上昇(Beaven 2008)。集団調査は「無関係」(Glover 2018)と「逆相関」(Glover 2022)で食い違う |
| 飲みすぎ・睡眠妨害 | 総睡眠が約45分短縮、就寝8.8時間前までに(Gardiner 2023)。睡眠不足は勃起・血流に不利 |
| 不安・過剰摂取 | 1日400mg超で不安リスク上昇(Liu 2024)、400〜750mgでパニック誘発(Klevebrant 2022) |
| 安全上限 | 健常成人400mg/日・単回200mgが目安(EFSA 2015) |
ポイント:カフェインは「効く/効かない」の二択で語れる物質ではありません。用量・タイミング・その人の体質で顔が変わります。以下、「体内での働き → 疫学 → ホルモン → 飲みすぎの逆効果 → 賢い付き合い方」の順に、混在した研究を解きほぐしていきます。
【体内での働き】カフェインは血管に何をするのか
① 主作用は「アデノシン遮断」——だから血圧が上がりやすい
カフェインの作用の中心は、脳や血管にあるアデノシン受容体をブロックすることです(Cappelletti et al., 2015)確度 参考(薬理レビュー)。アデノシンは本来「休め」「ゆるめ」の信号を出す物質で、これをふさがれると交感神経が優位になり、覚醒し、血管が締まりやすく、血圧が上がりやすくなります。加えてカフェインは副腎からのアドレナリン系の反応を後押しするため、飲んだ直後は”体が戦闘モードに入る”方向に傾きます。
これは勃起の観点では、必ずしも追い風とは限りません。勃起に必要なのは副交感神経優位の”リラックスして血管がゆるむ”状態であり、強い交感神経刺激(緊張・不安)はむしろ勃起を妨げる方向に働くからです。カフェインの「シャキッとさせる力」は、量と場面を選ぶ諸刃の剣だと理解しておくべきです。
② 急性の血圧上昇——ここは”安全性の数字”として押さえる
カフェインを摂った直後の血圧上昇は、比較的よく揃ったデータがあります。8研究・11効果量を統合した用量反応メタ分析では、カフェイン摂取後に収縮期血圧が+1.94mmHg(95%CI 0.52–3.35)、拡張期が+1.66mmHg(95%CI 0.75–2.57)上昇し、しかも男性でより上がりやすい傾向が示されました(Clinical Nutrition ESPEN, 2023)確度 高(8研究のメタ分析)。1杯ぶん程度なら小さな変化ですが、エナジードリンクの一気飲みや空腹時の高用量では、この上昇が積み上がります。高血圧の人・血圧の薬を飲んでいる人にとっては、過剰摂取が無視できない負荷になりうる点は、はっきり”注意”として置いておきます。
収縮期血圧の上昇(男性で大)
安全摂取の目安(上限)
懸念のない目安(約3mg/kg)
③ ところが「内皮の血管拡張はむしろ増える」という逆説
ここが面白いところです。健康な非常用者20名を対象にした二重盲検試験では、カフェインは血圧を上げた一方で、内皮依存性の血管拡張(アセチルコリンへの反応)をむしろ増強しました。しかもその増強は、NO産生を止める薬(L-NMMA)で消えたことから、NOを介した反応だと確認されています(Umemura et al., Am J Cardiol 2006)確度 中(小規模・生理学的指標)。「血圧を上げる」と「NOを介した血管拡張を助ける」が同居する——これがカフェインの厄介さです。
さらに、コーヒーにはカフェイン以外の成分(クロロゲン酸などのポリフェノール)も大量に含まれます。これらは抗酸化的に働き、長期的には内皮機能にむしろプラスに寄与しうると考えられています。だから「カフェイン単体の急性作用」と「コーヒーという飲み物の習慣的影響」は、しばしば結論が食い違います。その象徴が血圧です——急性では上げるのに、習慣的なコーヒー摂取と高血圧発症のコホート・メタ分析では、リスクは増えず、むしろ緩やかに低い傾向が報告されています(Xie et al., J Hum Hypertens 2018)確度 高(コホートのメタ分析)。この”急性 ≠ 習慣”のズレを頭に入れると、以降の疫学が読みやすくなります。
【疫学】コーヒー・カフェインとEDの関連(数値と、その限界)
いよいよ本題です。ただし先に釘を刺します。ここで紹介するのはすべて観察研究であり、「コーヒーを飲めばEDが良くなる」という因果を示すものではありません。 そして結論を先取りすると、研究ごとに向きがバラバラです。
“少ない傾向”を示した横断研究(Lopez 2015)
よく引用されるのが、米国の国民健康栄養調査(NHANES 2001–2004)を解析した横断研究です。20歳以上の男性3,724名で、24時間思い出し法から算出したカフェイン摂取量とEDの有無を調べたところ、カフェイン摂取が中程度(およそ1日170〜375mg=コーヒー2〜3杯相当)の層で、最も少ない層に比べてEDの申告が少ない傾向がみられました。具体的には第3五分位(85–170mg/日)でオッズ比0.58、第4五分位(171–303mg/日)で0.61でした(Lopez et al., PLoS One 2015)確度 低〜中(横断・因果は示せない)。過体重・肥満・高血圧の男性では関連がみられた一方、糖尿病の男性では関連がみられなかったのも重要な但し書きです。
⚠️ 読み方の注意:これは”ある一時点で撮った写真”のような横断研究です。「コーヒーを飲む人はもともと健康的な生活の人が多い」といった交絡(別の要因)を完全には排除できず、因果の証明にはなりません。数値の向きが良くても、これを「効能」と受け取るのは誤りです。
逆に”関連なし”を示した前向き研究とメタ分析
一方、より因果に迫れる前向きコホートでは、良い関連は再現されませんでした。医療従事者を対象にした大規模研究(Health Professionals Follow-Up Study、40〜75歳の男性21,403名)では、コーヒー摂取が最も多い層(≥4杯/日)と最も少ない層(0杯)でEDの新規発症に有意差はなく、長期のコーヒー摂取はEDリスクと関連しないという結論でした。むしろデカフェ(カフェインレス)コーヒーの多飲層でEDリスクが37%高いという意外な関連も出ています(Lopez et al., Am J Epidemiol 2018)確度 中(前向きコホート)。
さらに、コホート研究4件・計51,665名を統合した2024年のメタ分析でも、コーヒー摂取とEDリスクの間に有意な関連はありませんでした(相対リスク0.94、95%CI 0.86–1.03)(Karimi et al., J Health Popul Nutr 2024)確度 高(コホートのメタ分析)。著者自身、対象研究がまだ少なく結論は限定的だと注意を促しています。
「良い関連(Lopez 2015)」と「関連なし(Lopez 2018/Karimi 2024)」が並存しています。前者は横断研究、後者はより信頼度の高い前向き研究・メタ分析です。証拠の質で重みづけすれば、「コーヒーがEDを減らす」と断言できる段階ではなく、”はっきりした関連は確認されていない”というのが現時点の誠実な整理です。飲む理由にはなっても、”勃起対策として飲む”根拠にはなりません。
【ホルモン】テストステロン/コルチゾールへの影響——ここも結論が割れる
「カフェインでテストステロンが上がる」という話も広まっていますが、実際の研究は方向が食い違います。
運動時の急性反応:高用量で一過性に上昇(ただしコルチゾールも)
プロのラグビー選手24名に、運動1時間前にカフェイン0・200・400・800mgを無作為に摂らせた交差試験では、運動でテストステロンが約15%上がり、カフェインが用量依存的にさらに最大約21%上乗せしました。しかし最高用量800mgではコルチゾールも約52%増加し、著者は「テストステロンが上がる利点は、コルチゾール上昇(=異化=体を分解する方向)で相殺されうる」と結論しています(Beaven et al., IJSNEM 2008)確度 中(RCT・唾液指標)。つまり”上がった”のは事実でも、それが体に有利とは限らず、しかも高用量で初めて出る一過性の変化にすぎません。
集団調査:無関係とも、逆相関とも
日常的な摂取と血中テストステロンの関係を調べた集団調査は、さらに割れています。NHANESの複数サイクル(男性2,581名)の解析では、カフェイン摂取と血清テストステロンに一貫した関連はなしでした(Glover et al., Aging Male 2018)確度 中(横断)。一方、別サイクル(2013–2014、男性372名)では、カフェインおよびその代謝物とテストステロンの間に逆相関(多いほど低い)が報告されています(Glover et al., Nutr J 2022)確度 低〜中(横断・代謝物解析)。
要するに、「カフェインでテストステロンが増える/減る」のいずれも、断定できる状況ではありません。運動時の一過性の変化と、日常の血中濃度の話は別物ですし、集団調査どうしでも食い違うのが現実です。ホルモンを目的にコーヒーを増減させる合理的根拠は、今のところ乏しいと言えます。テストステロンと生活習慣の関係はアルコールとテストステロンでも整理しています。
【逆効果】飲みすぎ・睡眠妨害・不安——ここが本当の落とし穴
このテーマで最も実害が大きく、かつ研究がよく揃っているのが「飲みすぎの害」です。勃起・血流にとって、睡眠不足・不安・血圧上昇はいずれも明確な逆風。カフェインの過剰摂取は、この3つをまとめて悪化させます。
睡眠を削る——勃起・血流の土台を崩す
夜間・早朝の勃起(いわゆる朝立ち)は、質の良い睡眠のなかで起こる血管の”リハビリ時間”でもあります。ところがカフェインは睡眠を確実に削ります。メタ分析によれば、カフェイン摂取は総睡眠時間を約45分短縮、睡眠効率を約7%低下、入眠までの時間を約9分延長、中途覚醒を約12分増加させました。そして「就寝前どれくらい空ければよいか」の目安として、コーヒー(250mLあたり107mg)は就寝の約8.8時間前まで、プレワークアウト(約217.5mg)は約13.2時間前までに、と示されています(Gardiner et al., Sleep Med Rev 2023)確度 高(システマティックレビュー/メタ分析)。夕方以降のコーヒーが、その夜の睡眠——ひいては翌朝のコンディション——を静かに削っている可能性は、軽視できません。
不安・パニックを煽る——交感神経の”上げすぎ”
前述のとおりカフェインは交感神経を刺激します。適量なら覚醒・集中ですが、過剰になると不安・動悸・そわそわに転じます。健常者を対象にしたメタ分析では、1日400mgを超える高用量のカフェインで不安リスクが大きく上昇しました(標準化平均差2.86、95%CI 2.50–3.22)(Liu et al., Front Psychol 2024)確度 高(メタ分析)。さらにパニック障害の患者では、400〜750mgのカフェイン負荷でパニック発作が誘発され、健常者との差が明確に出ることも報告されています(Klevebrant & Frick, Gen Hosp Psychiatry 2022)確度 高(メタ分析)。勃起に必要なのはリラックスした状態。慢性的な不安・緊張は勃起を妨げる代表的な心理要因であり、カフェインの摂りすぎはこの点でも逆効果になりえます。
安全上限——「どこまでなら」の目安
欧州食品安全機関(EFSA)の科学的意見は、健常な非妊娠成人でカフェイン400mg/日まで(習慣的摂取)、単回では200mg(体重70kgで約3mg/kg)までなら安全上の懸念は生じにくい、としています。一方で就寝に近い時間の100mg程度でも睡眠に影響しうるとも明記されています(EFSA, 2015)確度 高(公的機関の総括)。コーヒー1杯≒80〜100mg、エナジードリンク1本≒80〜150mgが目安なので、「1日3杯前後・就寝前は避ける」が現実的なラインです。
総睡眠時間の短縮
これだけ前までに
不安リスクが上昇
【賢い付き合い方】コーヒーと”どう距離を取るか”
ここまでを踏まえると、実践的な結論はシンプルです。「適量を、時間を選んで」。以下は一般的な生活情報としての整理です(治療・効能の話ではありません)。
- 1日3杯前後を上限の目安に:健常成人で400mg/日・単回200mgが公的な目安(EFSA 2015)。エナジードリンクの重ね飲みは総量が跳ね上がるので注意。
- 午後〜夜のカフェインを減らす:就寝の約8.8時間前を過ぎたら控える(Gardiner 2023)。睡眠を守ることが、勃起・血流の土台を守ること。
- 空腹時・高用量の一気飲みを避ける:急性の血圧上昇と不安・動悸が出やすい。少量をゆっくりが基本。
- 不安・動悸・不眠が出たら減らす:それはカフェインの”上げすぎ”サイン。体質的に敏感な人は少量でも影響します。
- 持病・服薬中は主治医に相談:高血圧・不整脈・不安障害・胃食道逆流などがある人、降圧薬などを飲んでいる人は、摂取量を医師・薬剤師に相談を。
生活習慣で”血管を守る”という発想(と、サプリの位置づけ)
勃起・血流の土台は、結局のところ血管の健康です。コーヒーとの付き合い方も、その一部にすぎません。優先度が高いのは、質の良い睡眠・禁煙・有酸素運動・減量・血圧や血糖の管理といった地道な土台づくりです。カフェインはそれを助けもすれば(適量・日中)、壊しもする(過剰・夜間)——という中立的な存在として、正しい距離を取るのが賢明です。
そのうえで、栄養補助としてNO産生に関わるアミノ酸(アルギニン/シトルリンなど)に関心を持つ人もいます。ただし大前提として、サプリは食品であり、EDを治す薬ではありません。 「飲めば勃起が良くなる」「精力が回復する」と断言する商品は、それ自体が薬機法違反です。勃起の悩みの評価と治療は、サプリではなく医療機関で——これは動かせない原則です。EDは血管・神経・ホルモン・心理の要因が絡み、ときに心血管疾患のサインでもあります。気になる症状は、まず泌尿器科へ(背景はEDの本当の原因で解説)。血流・NO系サプリの考え方は血流・NO系サプリの選び方で整理しています。
【配合量の透明性で選ぶ】メンズサプリの選び方
【お断り】本記事はカフェイン・コーヒーという嗜好品と血管・血流・ホルモンに関する研究知見の紹介であり、特定の商品の効果効能を示すものではありません。
サプリを検討するなら、選ぶ基準は「効きそうな謳い文句」ではなく、自分で管理できる事実——つまり「何がどれだけ入っているか(配合量)が明記されているか」です。配合量が「〇〇由来エキス」等でぼかされた製品は、そもそも自分が何を・どれだけ摂っているのかを把握できません。過剰摂取や飲み合わせ(例えばカフェイン入り製品との重複)を自分で管理するうえで、量の透明性が前提になります。

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REVAGLA は全成分の配合量を開示している食品(メンズヘルスサプリメント)です。「何がどれだけ入っているか」が分かることは、用量や飲み合わせを自分で把握するうえで役立ちます。特定の効果を保証するものではありません。
(※本製品は食品であり、特定の疾病の治療・予防を目的とするものではありません。持病・服薬中の方、カフェインに敏感な方は医師・薬剤師にご相談ください。)
よくある質問(FAQ)
コーヒーを飲むと勃起は良くなりますか?
「良くなる」と断言できる根拠はありません。ある横断研究では中程度のカフェイン摂取層でEDの申告が少ない傾向がみられましたが(Lopez 2015)、より信頼度の高い前向き研究やメタ分析では関連が確認されていません(Lopez 2018/Karimi 2024)。いずれも観察研究で因果は示せず、”勃起対策として飲む”根拠にはなりません。勃起の悩みは医療機関で相談してください。
1日何杯までが目安ですか?
健常な成人では、カフェインとして400mg/日(コーヒーおよそ3〜4杯相当)、単回200mgまでが安全上の目安とされています(EFSA 2015)。ただしエナジードリンクやカフェイン入りサプリと重なると総量が増えやすいので、合計で管理してください。
夜にコーヒーを飲むと勃起に影響しますか?
直接「勃起に効く/効かない」というより、睡眠を削ることが問題です。メタ分析ではカフェインが総睡眠時間を約45分短縮し、コーヒーは就寝の約8.8時間前までにと示されています(Gardiner 2023)。睡眠不足は勃起・血流のコンディションに不利なので、夕方以降のカフェインは控えめが無難です。
カフェインでテストステロンは増えますか?
一貫した結論はありません。高用量を運動前に摂った介入試験では一過性に上がった一方でコルチゾール(ストレスホルモン)も上がり(Beaven 2008)、集団調査では「無関係」(Glover 2018)と「逆相関」(Glover 2022)で食い違います。テストステロンを目的にコーヒーを増減させる合理的根拠は乏しいのが現状です。
エナジードリンクは精力にいいですか?
「精力にいい」という科学的根拠はありません。むしろカフェインの過剰摂取(血圧上昇・不安・不眠・動悸)につながりやすく、砂糖も多い製品が中心です。血流・勃起の観点では、重ね飲みはデメリットのほうが目立ちます。
カフェインをやめると勃起は良くなりますか?
「やめれば良くなる」と示した直接の研究はありません。ただし、飲みすぎで睡眠不足・不安・血圧上昇が起きているなら、適量に戻すことでそれらの逆風がやわらぐ可能性はあります。勃起の変化が続く場合は、カフェインだけの問題と決めつけず、医療機関で評価を受けてください。
勃起の悩みがあるとき、まずどうすべき?
泌尿器科が第一の窓口です。EDの背景には血管・神経・ホルモン・心理の要因があり、ときに心血管疾患のサインでもあります。自己判断でサプリや嗜好品に頼らず、まず医療機関で評価を受けてください。
まとめ
- コーヒー・カフェインとEDの疫学は方向が一貫しません。「少ない傾向」を示した横断研究(Lopez 2015)がある一方、前向き研究・メタ分析では関連なし(Lopez 2018/Karimi 2024)。すべて観察研究で、因果は未確定です。
- カフェインは急性に血圧を一時的に上げ(Clin Nutr ESPEN 2023)、内皮の血管拡張はむしろ増強との報告もある(Umemura 2006)。”急性の作用”と”習慣的なコーヒーの影響”は分けて考える必要があります。
- テストステロン/コルチゾールへの影響も研究で割れており、目的をもって増減させる根拠は乏しい(Beaven 2008/Glover 2018・2022)。
- 一方で飲みすぎの害は明確。睡眠を削り(約45分短縮:Gardiner 2023)、400mg超で不安が強まり(Liu 2024)、過量はパニックを誘発しうる(Klevebrant 2022)。上限の目安は400mg/日・単回200mg(EFSA 2015)。
- 賢い付き合い方は「適量を、日中に」。勃起の悩みの評価・治療は医療機関で。サプリはEDの治療薬ではなく、選ぶなら配合量が明記された食品を、正しい距離感で。
参考文献
- Lopez DS, Wang R, Tsilidis KK, et al. (2015) “Role of Caffeine Intake on Erectile Dysfunction in US Men: Results from NHANES 2001–2004.” PLoS One 10(4):e0123547. PMID: 25919661. DOI: 10.1371/journal.pone.0123547 — 3,724名の横断。中程度摂取層でED申告が少ない傾向(Q3 OR 0.58/Q4 0.61)。糖尿病男性では関連なし。
- Lopez DS, Liu L, Rimm EB, et al. (2018) “Coffee Intake and Incidence of Erectile Dysfunction.” Am J Epidemiol 187(5):951–959. PMID: 29020139 — HPFS 21,403名の前向きコホート。総コーヒー摂取とED発症に有意な関連なし(デカフェ多飲層で+37%)。
- Karimi M, Asbaghi O, Kazemi K, et al. (2024) “Association between caffeine intake and erectile dysfunction: a meta-analysis of cohort studies.” J Health Popul Nutr 43:157. PMID: 39342393. DOI: 10.1186/s41043-024-00645-w — コホート4件・51,665名。RR 0.94(95%CI 0.86–1.03)、有意な関連なし。
- Umemura T, Ueda K, Nishioka K, et al. (2006) “Effects of Acute Administration of Caffeine on Vascular Function.” Am J Cardiol 98(11):1538–1541. PMID: 17126666. DOI: 10.1016/j.amjcard.2006.06.058 — 健常男性20名。カフェインは血圧を上げつつ、NOを介した内皮依存性血管拡張を増強。
- 【BP用量反応メタ分析】(2023) “The effects of caffeine supplementation on blood pressure in adults: A systematic review and dose-response meta-analysis.” Clin Nutr ESPEN. PMID: 38057002. DOI: 10.1016/j.clnesp.2023.09.923 — 8研究11効果量。摂取後SBP +1.94/DBP +1.66 mmHg、男性でより上昇。
- Xie C, Cui L, Zhu J, et al. (2018) “Coffee consumption and risk of hypertension: a systematic review and dose–response meta-analysis of cohort studies.” J Hum Hypertens 32(2):83–93. PMID: 29302055. DOI: 10.1038/s41371-017-0007-0 — 習慣的コーヒー摂取と高血圧リスクは増えず、緩やかに低い傾向(急性作用との対比)。
- Beaven CM, Hopkins WG, Hansen KT, et al. (2008) “Dose Effect of Caffeine on Testosterone and Cortisol Responses to Resistance Exercise.” Int J Sport Nutr Exerc Metab 18(2):131–141. PMID: 18458357 — 選手24名。800mgでテストステロン約+21%、コルチゾール約+52%(利点は相殺されうる)。
- Glover FE, Caudle WM, Del Giudice F, et al. (2018) “Caffeine intake is not associated with serum testosterone levels in adult men: cross-sectional findings from NHANES 1999–2004 and 2011–2012.” Aging Male. PMID: 29692226 — 男性2,581名。カフェインと血清テストステロンに一貫した関連なし。
- Glover FE, Michael Caudle W, Del Giudice F, et al. (2022) “The association between caffeine intake and testosterone: NHANES 2013–2014.” Nutr J 21:33. DOI: 10.1186/s12937-022-00783-z — 男性372名。カフェイン代謝物とテストステロンに逆相関(横断・所見は不一致)。
- Gardiner C, Weakley J, Burke LM, et al. (2023) “The effect of caffeine on subsequent sleep: A systematic review and meta-analysis.” Sleep Med Rev 69:101764. PMID: 36870101. DOI: 10.1016/j.smrv.2023.101764 — 総睡眠−45分、効率−7%、入眠+9分、中途覚醒+12分。コーヒーは就寝8.8時間前まで。
- EFSA Panel on Dietetic Products, Nutrition and Allergies (2015) “Scientific Opinion on the safety of caffeine.” EFSA Journal 13(5):4102. DOI: 10.2903/j.efsa.2015.4102 — 健常成人400mg/日・単回200mgまで懸念なし。就寝前100mgで睡眠に影響しうる。
- Liu C, Wang L, Zhang C, et al. (2024) “Caffeine intake and anxiety: a meta-analysis.” Front Psychol 15:1270246. PMID: 38362247. DOI: 10.3389/fpsyg.2024.1270246 — 高用量(≥400mg)で不安リスクが大きく上昇(SMD 2.86, 95%CI 2.50–3.22)。
- Klevebrant L, Frick A. (2022) “Effects of caffeine on anxiety and panic attacks in patients with panic disorder: A systematic review and meta-analysis.” Gen Hosp Psychiatry 74:22–31. DOI: 10.1016/j.genhosppsych.2021.11.005 — 400〜750mgの負荷でパニック障害患者にパニック発作を誘発。
- Cappelletti S, Piacentino D, Sani G, Aromatario M. (2015) “Caffeine: Cognitive and Physical Performance Enhancer or Psychoactive Drug?” Curr Neuropharmacol 13(1):71–88. PMID: 26074744. DOI: 10.2174/1570159X13666141210215655 — アデノシン受容体拮抗を中心とするカフェインの作用機序・循環器影響の総説。


