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マカは精力・テストステロンに効く?効果と限界を論文で徹底検証【2026年最新】

2026.07.31 約11分で読めます
マカは精力・テストステロンに効く?効果と限界を論文で徹底検証【2026年最新】
MYTH CHECK / 神話検証

「マカ=テストステロンを上げる精力剤」——男性向けサプリでこれほど強いイメージを持つ成分も珍しいでしょう。アンデス高地の伝統的な根菜で、期待の言葉は華やかに並びます。しかし研究の世界をのぞくと、そのイメージの中心にある「テストステロンを上げる」という前提が、実はデータに支えられていないことがわかります。マカは本当に何に効き、何には効かないのか。実在論文で整理します。

この記事は一般的な健康情報であり、診断・治療や特定商品の効能・効果を目的とするものではありません。性機能や妊活の悩みの背後には治療が必要な病気が隠れていることがあります。気になる症状は自己判断でサプリに頼らず、泌尿器科・専門医の受診を優先してください。
根拠レベルの見方: 確度 高=メタ分析・システマティックレビュー / 確度 中=RCT / 確度 関連=少人数試験・観察 / 確度 参考=総説・動物・in vitro

30秒でわかる結論

  • 🧪 マカは血中テストステロンを上げない。 健康な男性を対象にした複数のRCTで、テストステロン・エストラジオールはプラセボと差がありませんでした。
  • 🔥 「性的欲求」には作用する可能性。 ただし数値ホルモンとは無関係で、8週間で自覚的な欲求の改善を報告した試験があります。
  • 📊 ただし証拠の質は限定的。 システマティックレビューは「試験数が少なく、規模も小さい」と結論を保留しています。
  • 🧬 精子を増やす証拠は弱い。 メタ分析では精子濃度の有意な増加は示されませんでした。
  • 安全性は比較的高い。 多くの試験で重い副作用は少なく、良好な忍容性が報告されています。

マカとは——アンデス高地で育つ「伝統の根菜」

まず前提を整理します。マカ(学名 Lepidium meyenii)は、南米ペルーの標高4,000m級の高地で育つアブラナ科の根菜です。古くから食用・強壮の目的で用いられ、乾燥させた根を粉末にしたものがサプリメントとして流通しています。その伝統的な評判から、現代でも「活力」「精力」「妊活」といった文脈で語られ続けてきました。確度 参考(Gonzales GF, tradition to science・PMID 20090350)

サプリの世界でマカに寄せられる期待は、大きく3つに整理できます。①テストステロンを上げる ②性的欲求(リビドー)を高める ③精子を増やす——この3点です。イメージとしては一続きに語られがちですが、研究を見ると、この3つはまったく別々に評価する必要があることがわかります。ひとつずつ、データで見ていきましょう。

💡 この記事の見方: 「効く/効かない」を一括りにせず、ホルモン(テストステロン)・自覚的な欲求・精子の3つに分けて、それぞれの証拠の強さを見ていきます。同じ成分でも、指標によって結論はまるで違うからです。

【神話の核心】「マカでテストステロンが上がる」は支持されていない

マカのイメージの中心にあるのが、「男性ホルモン(テストステロン)を増やす」という前提です。ところが、これはもっともはっきり否定されている部分です。

決定的なのが、健康な成人男性を対象にしたゴンザレスらの研究です。この試験では、マカ摂取によって自覚的な性的欲求は改善したにもかかわらず、血中テストステロンとエストラジオール(女性ホルモン)はプラセボと差がなかったと報告されました。確度 中(Gonzales GF, 2002・PMID 12472620)つまり、「欲求が上がる=テストステロンが上がっている」ではないのです。

💡 ここが重要: 同じ研究グループの別の試験でも、マカは血中の生殖関連ホルモン(テストステロン・LH・FSH・プロラクチンなど)を変化させなかったと結論づけられています。確度 中(Gonzales GF, 2003・PMID 12525260)「伝統的に強壮に使われてきた根」であっても、ホルモン値を動かすメカニズムとは別の経路で働いている可能性が高い、というわけです。

これは、マカを選ぶ人にとってはむしろ大事な情報です。「テストステロンブースター」を期待して飲んでも、その数値が上がる根拠はありません。ホルモンそのものを底上げしたいなら、まずは睡眠・運動・体重管理・亜鉛やビタミンDなどの土台を整えるほうが理にかなっています。ミネラルとホルモンの関係は亜鉛とテストステロンで、DHTをめぐる別の誤解はクレアチンとDHTの検証でそれぞれ解説しています。

マカは「どの指標」に効くのか
血中テストステロン
変化なし
自覚的な性的欲求
改善の報告あり(質は限定的)
精子濃度
有意な増加は示されず

【性的欲求】効く「可能性」はある。ただし証拠は限定的

一方で、マカが完全に「何もしない」わけではありません。もっとも期待が持てるのが、自覚的な性的欲求(リビドー)への作用です。前述のゴンザレスらの試験では、マカ摂取開始から8週間で性的欲求の改善が観察されました。確度 中(Gonzales GF, 2002・PMID 12472620)

ただし、ここで冷静になる必要があります。マカの性機能への効果をまとめたシステマティックレビューは、「効果を示唆する試験もあるが、試験数が少なく、サンプルサイズも小さく、方法論の質も平均的で、確かな結論を出すには証拠が不十分」とはっきり述べています。確度 高(Shin BC, systematic review・PMID 20691074)「効いた」という報告と「差がなかった」という報告が混在しているのが実情なのです。

💡 補足: 欲求や気分といった主観的な指標は、プラセボ効果が乗りやすい領域です。「本物を飲んでいる」という期待だけで改善が報告されることも多く、だからこそ大規模で厳密な試験が必要になります。マカの場合、その決定打がまだ揃っていない、というのが2026年時点の状況です。近年の総説でも、有望さと証拠不足の両方が繰り返し指摘されています。確度 参考(comprehensive review of maca・PMID 38440178)

なお、更年期以降の女性を対象にした研究では、心理的な症状や性機能の指標が改善したが、それはエストロゲンやアンドロゲン(ホルモン)含量とは関係していなかったと報告されています。確度 関連(postmenopausal women・PMID 18784609)ここでも「効果はホルモン値と切り離されている」という、マカに一貫したパターンが見えてきます。

では、なぜ「マカ=テストステロンの精力剤」というイメージがこれほど強く定着したのでしょうか。理由は大きく2つあります。ひとつは伝統的な評判の力です。アンデスで古くから強壮の目的に用いられてきた歴史が、そのまま「効くはず」という前提として現代に持ち込まれました。もうひとつは「欲求が上がる=ホルモンが上がる」という直感的な思い込みです。しかし実際のデータは、この2つを明確に切り離しています。欲求という主観的な体験が動くことと、血液検査で測るテストステロン値が動くことは、体の中ではまったく別の現象なのです。この区別を押さえておくだけで、サプリ広告の「テストステロンをサポート」といった言葉に振り回されにくくなります。

もし試すのであれば、「ホルモンを底上げする道具」ではなく「気分やコンディションの補助」という控えめな期待値で位置づけるのが現実的です。数週間試して自分の体感に変化がなければ、こだわらずに切り上げる。そして、欲求の低下や妊活の悩みが続くなら、それは体からのサインかもしれません。サプリの範囲で抱え込まず、専門医に相談する——この線引きが、遠回りに見えていちばんの近道になります。

【精子・妊活】「増やす」証拠は、まだ弱い

3つめの期待が、精子・妊活への効果です。伝統的に「妊よう性を高める根」とされてきた背景もあり、期待は根強いのですが、ここも現時点の証拠は控えめです。

複数のRCTを統合したシステマティックレビュー・メタ分析は、マカが精液の質を改善する効果は一貫せず、精子濃度の有意な増加はプラセボと比べて示されなかったと結論づけています。確度 高(semen quality meta-analysis・PMID 36110519)「増えた」という個別の報告はあっても、まとめて見ると確実とは言えない、という段階です。

マカへの3つの期待と、現時点の評価
①テストステロンを上げる支持されていない
②性的欲求を高める可能性あり・質は限定的
③精子を増やす確実な証拠なし

比較的最近の研究では、加齢にともなう男性ホルモン低下(late-onset hypogonadism)の症状をもつ人を対象にしたRCTも行われており、マカの有効性と安全性が検討されています。確度 中(LOH RCT・PMID 36593713)こうした新しい試験が積み重なることで評価は変わり得ますが、「精子を確実に増やす」と言い切れる段階には至っていません。妊活は時間との勝負でもあります。悩みがあるなら、サプリで様子を見るより先に、まず専門クリニックで検査を受けるのが近道です。

安全性——「穏やか」でも過信はしない

効果とは別に、安全性は多くの研究で比較的良好です。総説や臨床試験では、マカは重い有害事象が少なく、忍容性も良いと報告されています。確度 参考(Gonzales GF, review・PMID 20090350)気分・エネルギー・健康感の改善を報告した試験もあり、日常的な補助食品としての位置づけは理解できます。

⚠️ それでも、次の点には注意してください。

  • 「テストステロンブースター」として期待しない:その効果を支持するデータはありません。
  • 治療の代わりにしない:EDや妊活の悩みは、背後に治療可能な病気があることも。まず受診を。
  • 持病・服薬中の人:ホルモン感受性の疾患がある場合や薬を飲んでいる場合は、開始前に医師・薬剤師へ相談を。
  • 品質のばらつき:産地・加工(黒マカ・赤マカ等)や用量が製品ごとに大きく異なり、研究結果をそのまま当てはめにくい点にも注意。

同じ「植物系サプリの神話検証」としてはノコギリヤシは薄毛・前立腺に効く?もあわせてどうぞ。ハーブに共通する「伝統の評判と、実測データのギャップ」という構図が、より立体的に見えてきます。

まとめ——「テストステロンの魔法」ではない

マカは、長い伝統と強いイメージを持つ成分です。しかし実在論文を並べると、その姿は思ったよりシンプルになります。血中テストステロンは上げません。自覚的な性的欲求には作用する可能性があるものの、証拠の質は限定的で、精子を確実に増やす根拠も今のところ弱い——これが2026年時点のフェアな評価です。安全性は比較的高いので、「気分やコンディションの補助」として穏やかに使うぶんには理解できますが、「ホルモンを底上げする魔法の根」ではありません。

大切なのは、イメージの言葉ではなく、指標ごとの証拠で判断すること。そして、つらい症状があるなら、サプリの前に専門医の扉を叩くことです。マカは”穏やかな一手”にはなり得ても、治療の代わりにはなりません。

よくある質問(FAQ)

Q. マカを飲めばテストステロンは上がりますか?
健康な男性を対象にした複数のRCTで、マカは血中テストステロンを変化させませんでした。確度 中(PMID 12472620・12525260)「テストステロンブースター」としての効果は支持されていません。
Q. では、性的欲求には効くのですか?
8週間で自覚的な欲求の改善を報告した試験はあります。確度 中(PMID 12472620)ただしシステマティックレビューは「試験が少なく規模も小さい」として結論を保留しており、確実とは言えません。確度 高(PMID 20691074)
Q. 妊活で精子を増やす目的で飲む価値はありますか?
メタ分析では精子濃度の有意な増加は示されませんでした。確度 高(PMID 36110519)妊活の悩みは時間が大切です。サプリで様子を見る前に、まず専門クリニックでの検査をおすすめします。
Q. 副作用はありますか?
多くの試験で重い副作用は少なく、忍容性は良好と報告されています。確度 参考(PMID 20090350)ただしホルモン感受性疾患のある方や服薬中の方は、開始前に医師・薬剤師へ相談してください。
参考文献(実在・PubMed)
1. Gonzales GF, et al. Effect of Lepidium meyenii (MACA) on sexual desire and its absent relationship with serum testosterone levels in adult healthy men. Andrologia. 2002. PMID 12472620
2. Gonzales GF, et al. Effect of Lepidium meyenii (Maca) on serum reproductive hormone levels in adult healthy men. J Endocrinol. 2003. PMID 12525260
3. Shin BC, et al. Maca (L. meyenii) for improving sexual function: a systematic review. BMC Complement Altern Med. 2010. PMID 20691074
4. Maca (Lepidium meyenii Walp.) on semen quality parameters: a systematic review and meta-analysis. 2022. PMID 36110519
5. Efficacy and Safety of Maca in Patients with Symptoms of Late-Onset Hypogonadism: a randomized, double-blind, placebo-controlled clinical trial. 2023. PMID 36593713
6. Gonzales GF. Lepidium meyenii (Maca): a plant from the highlands of Peru—from tradition to science. 2010. PMID 20090350
7. Stojanovska L, et al. Maca on psychological symptoms and sexual dysfunction in postmenopausal women, not related to estrogen or androgen content. 2008. PMID 18784609
※本記事は一般的な健康情報であり、特定商品の効能・効果を標榜するものではありません。
男ラボ編集部
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