サプリの配合量表示の見方|「独自ブレンド」の罠と、失敗しない選び方【2026年最新】
- 「〇〇配合」は入っているという意味だけ。量は別の話。
- 市販品では成分の44%が「独自ブレンド」に隠れて個別量が読めない。
- 研究で使われた量は論文に書いてある。ラベルのmgと見比べればいい。
- だから、1成分ごとの配合量を開示している製品を選ぶ。
「高濃度」「たっぷり配合」と書いてあっても、中身の量は分かりません。男の活力系サプリはとくにそうです。この記事では、裏面のラベルだけで中身を見分ける手順を整理します。あわせて、勃起・性欲・活力・精子という4つの軸で、研究に実際に使われた量を並べます。ラベルのmgと見比べるための物差しを持ち帰ってください。
「配合」と「配合量」は何が違う?

「配合」は入っているという事実だけを指します。量については何も言っていません。ひとつまみでも「配合」と書けてしまいます。
大事なのは「何mg入っているか」のほうです。たとえばシトルリンというアミノ酸は、研究では1日1.5g前後から数gという単位で扱われます臨床。もし製品の配合が50mgなら、研究の30分の1です。看板は同じでも、中身の桁が違います。
だから見るべきは言葉ではなく数字です。順番はこうなります。
「配合」は入っている、というだけの言葉。
研究で使われた量と桁が合っているか。見るのはそこだけ。
「独自ブレンド」は何を隠せる?

隠せるのは、個別成分の量です。複数の成分をまとめて「合計◯mg」と書けば、内訳を出さずに済みます。
これは推測ではありません。売れ筋のプレワークアウト製品100点を調べた研究があります(Jagim 2019, PMID: 30678328)実測。1製品あたりの成分数は平均18.4。そのうち平均8.1成分が独自ブレンドの中にあり、個別の量が公開されていませんでした。全成分に対する割合にすると44.3%です。
同じ研究では、量が書かれていた成分の平均値も出ています。ここが参考になります。
| 成分 | 採用率 | 平均配合量 |
|---|---|---|
| ベータアラニン | 87% | 2.0 g |
| カフェイン | 86% | 254 mg |
| シトルリン | 71% | 4.0 g |
| チロシン | 63% | 348 mg |
| タウリン | 51% | 1.3 g |
出典:Jagim 2019(Nutrients)。数値は平均±標準偏差の平均側のみを抜粋。
なぜ隠すのか。理由は多くの場合2つです。量が少ないのを見せたくないか、原価を抑えたいかです。中身に自信があれば、わざわざ伏せる必要はありません。
市販100製品を調べたら、成分の44%が個別量を出していなかった。
内訳が読めない時点で、その製品は比べる土俵に乗っていない。
もう一つ、独自ブレンドには数字のトリックがあります。原材料は多い順に並ぶので、ブレンド名の下の1番目に安い成分を置けば、合計値は大きく見せられます。「パワーブレンド1,000mg」の中身が、実は950mgのブドウ糖ということもあり得ます。
合計の数字は、いちばん安い原料でも作れる。
見るのは合計ではなく、成分ごとのmg。
原材料名の順番で何が分かる?

おおよその量の順番が分かります。食品表示法では、原材料を重量の多い順に書くと決まっているからです。無料で使えるヒントです。
目玉成分が前のほうにあれば、比較的しっかり入っている可能性があります。逆に末尾のほう、添加物と並ぶあたりにあれば、量は少なめのサインです。「主成分」と大きく謳っているのに、裏面では最後——これはよくあるちぐはぐです。
| 原材料名での位置 | 読み取れること | 次にすること |
|---|---|---|
| 先頭〜3番目 | 量が多い側にある | 実際のmgを確認 |
| 中ほど | 判断できない | mgの記載を探す |
| 末尾・添加物と並ぶ | 少量の可能性が高い | 桁を研究と比べる |
原材料は重量の多い順に並ぶ、という決まりがある。
目玉成分が末尾なら、量は少ないと考えていい。
勃起の研究では何mgだった?

数gではなく1.5g前後から報告があります。EDに関わる成分は、用量が論文に明記されている数少ない領域です。
シトルリンでは、軽度のED(勃起の硬さがやや足りない状態)の男性24人に1日1.5gを1か月与えた試験があります(Cormio 2011, PMID: 21195829)臨床。勃起の硬さの自己評価が1段階上がった人は、プラセボ(見た目は同じで中身が入っていない偽物)で8.3%、シトルリンで50%でした。月あたりの性交回数も1.37回から2.3回に増えています。ただし24人という小さな試験です。
アルギニンでは、10件のRCT(くじ引きで2つのグループに分けて比べる、いちばん信頼できる試験)540人をまとめたメタ分析(いくつもの研究をまとめて一つの結論を出す方法)があります(Rhim 2019, PMID: 30770070)メタ。1日1,500〜5,000mgで、勃起の指標が対照群より改善したと報告されています。
| 成分 | 研究で使われた量 | 人数・期間 | 報告された内容 |
|---|---|---|---|
| シトルリン | 1.5 g/日 | 24人・1か月 | 硬さの自己評価が1段階上がった人が50%(対照8.3%) |
| アルギニン | 1.5〜5 g/日 | 10試験540人 | 勃起の指標が対照群より改善 |
| アルギニン+松樹皮エキス | 論文により差あり | 3試験184人 | 勃起・満足度の指標で差 |
アルギニンと松樹皮エキスを組み合わせた研究も3件184人分がまとめられています(Tian 2023, DOI: 10.3389/fendo.2023.1211720/PMC10614297)メタ。松樹皮エキスは血管に関わる指標で報告があり(Fogacci 2020, PMID: 31763928)、アルギニンと同じ方向を向いた成分です。
この軸で使われた量は1日1.5g以上と、はっきり書かれている。
ラベルが「独自ブレンド1,000mg」で止まっていたら、この比較ができない。
性欲の研究では何mgだった?

マカで1日1.5gと3gという数字が出ています。ここは成分によって結果が割れる軸です。
12週間の試験で、21〜56歳の男性にマカを1日1,500mgまたは3,000mg与えたところ、8週目から性欲の自己評価が上がったと報告されています(Gonzales 2002, PMID: 12472620)臨床。二重盲検(本人にも担当医にも、どちらを飲んだか分からないようにする方法)で行われています。血液中のテストステロンは変わっていません。つまりホルモンとは別の道すじが関わっている可能性があります。
自転車競技者8人に14日間マカ抽出物を与えた小さな試験でも、性欲の自己評価はプラセボと比べて上がりました(Stone 2009, PMID: 19781622)少人数。
一方で、先ほどのアルギニンのメタ分析では、性欲のスコアだけは変わりませんでした。同じ「性生活」でも、勃起の硬さと性欲は別の指標だということです。
| 成分 | 量 | 人数・期間 | 性欲の指標 |
|---|---|---|---|
| マカ | 1.5 g/3 g・日 | 12週 | 8週目から自己評価が上昇 |
| マカ抽出物 | 14日間 | 8人 | プラセボ比で自己評価が上昇 |
| アルギニン | 1.5〜5 g/日 | 10試験540人 | 変化なし |
マカは1.5g/3gという量で性欲の報告がある成分。アルギニンにはその報告がない。
だから「性欲に関係する成分入り」ではなく、どの成分が何mgかを見る。
活力・スタミナはどうなのか?

ここは正直に書きます。競技成績を測った研究では、はっきりした差は出ていません。ただし「競技成績」と「日常の元気」は別の物差しです。何を測ったのかを先に確認してください。
シトルリンと有酸素運動の成績をまとめたメタ分析では、全体として有意な差(偶然では説明しにくい差)は認められませんでした(Viribay 2022, PMID: 36079738)メタ。6〜16日間、1日3.4〜6gを続けた場合に改善の傾向は見えたものの、統計的な差には届いていません。
ただし、この研究が測ったのは訓練された人の競技タイムです。「夕方まで元気が持たない」という日常の疲労感とは、別の物差しです。競技成績で差が出なかったことは、日常の体感について何かを言ったわけではありません。
血管側の測定値でも、松樹皮エキスやシトルリンには報告が積み重なっています。何を測ったかで結論は変わります。
自転車競技者の試験でも、40kmのタイムはベースライン(試験を始める前の数値)より改善しましたが、プラセボと比べると差がありませんでした。読むときは、この2つを分けてください。「始める前より良くなった」と「プラセボより良かった」は別の意味です。
| 何を測ったか | 成分・量 | 結果 |
|---|---|---|
| 有酸素の競技成績 | シトルリン 3.4〜6 g/日 | 全体では差なし(傾向のみ) |
| 高強度の筋力・パワー | シトルリン(急性摂取) | 小さいが統計的な差あり |
| 40kmタイム | マカ抽出物 14日 | プラセボ比では差なし |
差が出なかったのは競技タイムという尺度。日常の体感を測った研究ではない。
筋力・パワーや血管の測定値には報告がある。だから成分ごとのmgを見て比べる。
精子の研究はあるのか?

あります。ただし、この軸の研究は他の3つより明らかに手薄です。人数が少なく、対照群のない設計が中心です。量の目安を出すには材料が足りていません。
成人男性9人にマカを1日1,500mgまたは3,000mg、4か月続けた試験があります(Gonzales 2001, PMID: 11753476)少人数。精液量、1回の射精あたりの精子数、動いている精子の数、運動率が増えたと報告されています。ホルモンの値は変わっていません。
正直に書くと、これは9人の試験です。対照群のない設計で、規模も小さい。この1本だけで妊活の判断材料にするには、証拠として弱いということです。用量の目安として読むにとどめてください。
| 成分 | 量・期間 | 人数 | 報告された内容 |
|---|---|---|---|
| マカ | 1.5 g/3 g・4か月 | 9人 | 精液量・精子数・運動率が増加 |
| シトルリン | — | — | 生殖の指標を調べた質の高い試験は見当たらない |
| 松樹皮エキス | — | — | 同上 |
この軸は9人規模の報告しかない。ラベルのmgだけで妊活を判断しないこと。
気になるなら、まず精液検査で自分の現在地を測る。順番はそこから。
機能性表示食品なら安心?

いいえ。機能性表示食品は国が審査した制度ではなく、事業者が届け出る制度です。ここを誤解している人が多いところです。
| 種類 | 機能の表示 | 国の関与 |
|---|---|---|
| 特定保健用食品(トクホ) | できる | 許可制(国が審査) |
| 機能性表示食品 | できる | 届出制(国は審査せず・事業者責任) |
| 一般食品(多くのサプリ) | できない | — |
男性向けのサプリの多くは一般食品です。体への機能を表示できません。だからこそ「高濃度」「たっぷり」という曖昧な言葉でぼかす動機が生まれます。逆に言えば、一般食品を選ぶときこそ、配合量という事実で判断するしかありません。
機能性表示食品は届け出るだけの制度。国のお墨付きではない。
制度の名前より、成分ごとのmgのほうが情報量が多い。
失敗しないチェックリスト
裏面ラベルを、この順で確認してください。最重要は1つ目です。ここだけでハズレの多くを避けられます。
| 確認すること | 合格の目安 |
|---|---|
| 1. 個別成分のmgが書いてあるか | 「独自ブレンド◯mg」で丸めていない |
| 2. 目玉成分が原材料名の前のほうか | 先頭〜3番目にある |
| 3. 研究で使われた量と桁が合うか | この記事の表と見比べる |
| 4. 「1日の目安量あたり」の数字か | 1袋ぶんの総量と混同しない |
| 5. 規格・純度・原料が書いてあるか | エキスなら規格化の記載がある |
| 6. うますぎる断定がないか | 食品に「必ず効く」とは書けない |
4番目は見落としがちです。パッケージの総量が大きく見えても、それが1袋ぶんなら意味が変わります。1回あたりに割り戻して、はじめて研究の量と比べられます。
まず1番だけ見ればいい。成分ごとのmgを出しているか。
出していない製品は、比べようがないという意味で最初に外れる。
よくある質問(FAQ)
「高濃度」と書いてあれば量は多い?
いいえ。「高濃度」「たっぷり」は配合量を保証する言葉ではありません。具体的なmg数が書いていなければ、実際の量は分かりません。
「独自ブレンド」は避けるべき?
個別の量が読めないので、中身を比べられません。少なくとも「個別量が非開示である」と理解したうえで選ぶべきです。中身に自信があれば、普通は伏せません。
原材料名のどこを見ればいい?
重量の多い順に並ぶルールなので、目玉成分が前のほうにあるかを見ます。末尾のほう、添加物と並ぶあたりなら量は少なめのサインです。
研究と同じ量なら同じ結果になる?
なりません。研究の参加者は年齢も状態もそろえてあり、あなたとは条件が違います。量を見るのは「研究と同じ桁に届いているか」を確かめるためで、結果を約束するものではありません。
結局、何を基準に選べばいい?
まず全成分の配合量を開示しているか。次に、その量が研究で扱われる範囲と桁が合うか。言葉の派手さではなく、数字で選ぶのが失敗しないコツです。
質問はいろいろあるが、答えはどれも同じところに戻る。
成分名の隣に数字が書いてあるか。それだけを見ればいい。
まとめ
- 「配合」は入っているという意味だけ。量は別の話。
- 市販100製品の調査では、成分の44.3%が独自ブレンドに隠れていた。
- 勃起の軸ではシトルリン1.5g、アルギニン1.5〜5gという量で報告がある。
- 性欲の軸ではマカ1.5g/3gで報告がある。アルギニンでは変化がなかった。
- 活力の軸で差が出なかったのは競技タイムという尺度。筋力・パワーには報告がある。
- 射精・精子の軸は9人規模の報告のみ。まず精液検査で現在地を測る。
- 選ぶ基準は1つ。1成分ごとのmgを開示している製品かどうか。
4つの軸のどれも、研究にははっきりした量が書かれている。
比べる相手は広告ではなく、その数字。ラベルのmgがあれば比べられる。
参考文献
- Jagim AR, Harty PS, Camic CL. (2019) “Common Ingredient Profiles of Multi-Ingredient Pre-Workout Supplements.” Nutrients 11(2):254. PMID: 30678328 — 市販100製品の平均成分数18.4、うち8.1成分が独自ブレンド内で個別量非開示(全成分の44.3%)。
- Cormio L, et al. (2011) “Oral L-citrulline supplementation improves erection hardness in men with mild erectile dysfunction.” Urology 77(1):119-122. PMID: 21195829 — 24人、1.5g/日1か月。硬さの自己評価が1段階上がった人が50%(対照8.3%)。
- Rhim HC, et al. (2019) “The Potential Role of Arginine Supplements on Erectile Dysfunction: A Systemic Review and Meta-Analysis.” J Sex Med 16(2):223-234. PMID: 30770070 — 10試験540人、1,500〜5,000mg/日。勃起の指標は改善、性欲スコアは不変。
- Tian Y, et al. (2023) “Efficacy of L-arginine and Pycnogenol in the treatment of male erectile dysfunction: a systematic review and meta-analysis.” Front Endocrinol 14:1211720. DOI: 10.3389/fendo.2023.1211720(PMC10614297)— 3試験184人、併用群で勃起・満足度の指標に差。
- Gonzales GF, et al. (2002) “Effect of Lepidium meyenii (MACA) on sexual desire and its absent relationship with serum testosterone levels in adult healthy men.” Andrologia 34(6):367-372. PMID: 12472620 — 1,500/3,000mg・12週。8週目から性欲の自己評価が上昇、テストステロンは不変。
- Stone M, et al. (2009) “A pilot investigation into the effect of maca supplementation on physical activity and sexual desire in sportsmen.” J Ethnopharmacol 126(3):574-576. PMID: 19781622 — 男性自転車競技者8人・14日。性欲はプラセボ比で上昇、40kmタイムはプラセボ比で差なし。
- Gonzales GF, et al. (2001) “Lepidium meyenii (Maca) improved semen parameters in adult men.” Asian J Androl 3(4):301-303. PMID: 11753476 — 9人・1,500/3,000mg・4か月。精液量・精子数・運動率が増加、ホルモンは不変。
- Viribay A, et al. (2022) “Effects of Citrulline Supplementation on Different Aerobic Exercise Performance Outcomes: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Nutrients 14(17):3479. PMID: 36079738 — 有酸素の競技成績では全体として差なし。3.4〜6g/日を6〜16日で改善傾向のみ。
- Trexler ET, et al. (2019) “Acute Effects of Citrulline Supplementation on High-Intensity Strength and Power Performance: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Sports Med 49(5):707-718. PMID: 30895562 — 12研究198人。高強度の筋力・パワーで小さいが統計的な差。
- Morita M, et al. (2014) “Oral supplementation with a combination of L-citrulline and L-arginine rapidly increases plasma L-arginine concentration and enhances NO bioavailability.” Biochem Biophys Res Commun 454(1):53-57. PMID: 25445598 — 併用は単独より速やかに血液中のアルギニンとNO指標を高める。
- Suzuki T, et al. (2017) “Effect of oral administration of L-citrulline and L-arginine on plasma L-arginine concentration in healthy men.” Biosci Biotechnol Biochem 81(2):372-375. PMID: 27667025 — 併用時の血液中アルギニン増加。
- Miura N, et al. (2022) “Subchronic tolerance trials of graded oral supplementation with citrulline in healthy adults.” Amino Acids. PMID: 36571619 — シトルリンの無毒性量は24g/日(4週)。
- Schwedhelm E, et al. (2008) “Pharmacokinetic and pharmacodynamic properties of oral L-citrulline and L-arginine.” Br J Clin Pharmacol 65(1):51-59. PMID: 17662090 — シトルリンが経口アルギニンより効率的に血液中のアルギニンとNO指標を上昇。
- Fogacci F, et al. (2020) “Effect of Pycnogenol on Blood Pressure.” Angiology 71(3):217-225. PMID: 31763928 — 松樹皮エキスで血圧の上と下の数字がどちらも低下(複数試験の統合解析)。
- Rohdewald P. (2002) “A review of the French maritime pine bark extract (Pycnogenol).” Int J Clin Pharmacol Ther 40(4):158-168. PMID: 11996210 — 松樹皮エキスの薬理を概観した総説。
公的情報
- 消費者庁「機能性表示食品について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims — 機能性表示食品は届出制(国の審査なし・事業者責任)である旨。
- 消費者庁「食品表示」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/ — 食品表示法にもとづく原材料名・栄養成分表示のルール(原材料は重量の多い順)。






