マカはテストステロンを上げる?男性機能への効果を論文で検証【2026年最新】
- マカはペルーの高地で育つ根っこの食べもの。
- 人の試験で男性ホルモンは動かなかった。
- 勃起・性欲・元気の質問票には報告がある。精子ははっきりしない。
- だから見るのはT値ではなく、種類と1回の配合量。
「マカ=男の活力」。広告ではおなじみの言葉です。ところが論文を読むと、看板と中身がずれています。この記事では、2026年8月時点で実在を確認した論文だけを使います。勃起・性欲・活力・射精という男の4つの軸に分けて、分かっていることと、分かっていないことを整理します。
マカって何の根っこ?

マカ(Lepidium meyenii)は、ペルーのアンデス高地で育つアブラナ科の根菜です。標高4,000mを超える土地で栽培されてきました。現地では食材として、また滋養の目的で使われてきた歴史があります。
日本で売られているマカは、粉末か乾燥エキスがほとんどです。研究で使われた量は1日1.5〜3g前後。この記事に出てくる数字は、すべてこの範囲の話です。
この記事は、男の4つの軸に分けて見ていきます。①勃起 ②性欲・性生活 ③活力・エネルギー ④射精・生殖。軸ごとに研究の厚みがまったく違うからです。ひとまとめに「効く/効かない」と語ると、必ず読み違えます。
マカはアンデスの根っこの食べもの。研究で使われた量は1日1.5〜3g。
4つの軸で研究の厚みがまるで違うので、分けて読むのが正解。
テストステロンは上がるの?

いいえ。人を対象にした試験では、男性ホルモンは動きませんでした。ここが最大の誤解です。
健康な成人男性56人が参加した試験があります 確度 中(Gonzales 2003)。マカを1日1.5gまたは3.0g、12週間まで飲んでもらいました。テストステロン、LH(脳から精巣へ出す指令のホルモン)、FSH、プロラクチン、エストラジオールを2・4・8・12週で測定。どの時点でも、プラセボ(見た目は同じで中身が入っていない偽物)との差は確認されませんでした。
試験管の実験でも同じ方向です。マカの抽出物は、ヒトのアンドロゲン受容体(男性ホルモンを受け取るスイッチ)に結合しませんでした 確度 低〜中(基礎)(Bogani 2006)。男性ホルモンのような遺伝子の反応も起きていません。
ここで出てくる「差は確認されなかった」は、偶然では説明しにくいほどの違いが出なかった、という意味です。ゼロだと証明できたという意味ではありません。
では、なぜ世界中で使われ続けているのか。物差しを変えると、景色が変わります。ここから4つの軸を順に見ていきます。
マカはテストステロンを動かさない。試験管でもスイッチに触れていない。
「T値が上がるから」で選ぶと外れる成分。見る場所を変える必要がある。
勃起の研究はあるの?

あります。ただし試験は2件しかなく、測っているのは自己申告の質問票です。差の大きさも1点前後です。
イタリアの試験では、軽いEDの男性50人が参加しました 確度 中(Zenico 2009)。マカの乾燥エキス2,400mg/日を12週間。IIEF-5(勃起の状態を5つの質問で点数にする指標)の上がり幅は、マカ側が1.6点、プラセボ側が0.5点でした。プラセボ側も上がっている点は見落とせません。
2023年のメタ分析(いくつもの研究をまとめて一つの結論を出す方法)は、この領域で条件を満たすRCT(くじ引きで2つのグループに分けて比べる、いちばん信頼できる試験)を2件しか見つけられませんでした 確度 中(Lee 2023)。79人ぶんを合わせた差は1.13点(0.64〜1.61)。著者らは「結論を出すには研究が足りない」と書いています。
もう1件、加齢に伴う不調の症状がある男性80人の試験があります 確度 中(LOH試験 2023)。マカ群41人とプラセボ群39人に分け、12週間続けました。加齢症状の質問票(AMS)、IIEF、排尿の質問票(IPSS)のスコアが、プラセボ群より改善したと報告されています。
| 研究 | 対象 | 使った量と期間 | 報告された内容 |
|---|---|---|---|
| Zenico 2009 | 軽いEDの男性50人 | 乾燥エキス2,400mg/日・12週 | IIEF-5の上がり幅がマカ1.6点、プラセボ0.5点 中 |
| Lee 2023 | 2件・79人のメタ分析 | 試験ごとに幅あり | 勃起機能の点数の差は1.13点(0.64〜1.61) 中 |
| LOH試験 2023 | 加齢症状のある男性80人 | 12週 | AMS・IIEF・IPSSがプラセボ群より改善 中 |
数字の読み方を添えます。IIEF-5は最大25点の質問票です。1点前後の差は、点数としては小さい差になります。日々の体感でどう出るかまでは、この数字からは分かりません。
試験は2件、差は1点前後。小さいうえに数が足りない。
点数を追う前に、種類と1回の量を確かめる。状態が続くなら受診が先。
性欲は変わるの?

4つの軸のなかで、報告がいちばん積み上がっているのがここです。しかもホルモンが動かないまま、点数だけが動いています。
ペルーで行われた12週間の試験では、健康な男性が1日1,500mgまたは3,000mgを飲みました 確度 中(Gonzales 2002)。自己申告の性欲スコアは、8週目の時点から改善が見られました。この変化は、テストステロンやエストラジオールの値とは結びついていません。うつや不安のスコアでも説明できませんでした。
175人が参加した12週間の試験もあります 確度 中(Gonzales-Arimborgo 2016)。黒マカまたは赤マカのエキス3g/日、あるいはプラセボ。性欲、気分、エネルギー、生活の質のスコアが、プラセボ群より良好でした。重い副作用の報告もありません。
鍛えた自転車選手8人の小さな試験でも、性欲スコアはプラセボより高くなりました 確度 低〜中(Stone 2009)。人数は少ないですが、向きはそろっています。
一方で、系統的レビュー(世界中の研究を漏れなく集めて整理したもの)は慎重です 確度 関連(Shin 2010)。集まった試験は4件だけ。「良い結果を示す試験はあるが、数も質も足りない」というのが結論でした。
| 研究 | 対象と量 | 測ったもの | 結果 |
|---|---|---|---|
| Gonzales 2002 | 健康な男性・1.5または3.0g・12週 | 自己申告の性欲スコア | 8週目から改善。ホルモンとは無関係 中 |
| Gonzales-Arimborgo 2016 | 175人・黒/赤マカ3g・12週 | 性欲・気分・生活の質 | プラセボ群より良好 中 |
| Stone 2009 | 自転車選手8人・14日 | 自己申告の性欲スコア | プラセボより高い △ |
| Shin 2010 | 4件を集めた系統的レビュー | 性機能ぜんぱん | 良い報告はあるが数と質が不足 △ |
ここで注意点を1つ。性欲は睡眠・体重・ストレス・薬の影響を強く受けます。成分ひとつで決まる軸ではありません。
ホルモンが動かないのに、性欲の点数だけ動いた試験が複数ある。
どれも自己申告の質問票。だから研究で使われた量に届く配合かどうかを見る。
元気・スタミナはどう?

結論は「何を測ったか」で正反対になります。競技のタイムと、日常の調子はまったく別の物差しです。
自転車選手8人に、マカのエキスを14日間飲んでもらった試験があります 確度 低〜中(Stone 2009)。40kmのタイムトライアルは、飲む前より速くなりました。ただしプラセボと比べた差は出ていません。ここで測っているのは、鍛えた人の競技タイムです。「夕方まで持たない」という日常の悩みとは、別の物差しになります。
日常の調子を聞いた試験では、報告が違います。175人が参加した12週間の試験では、エネルギー・気分・生活の質のスコアがプラセボ群より良好でした 確度 中(Gonzales-Arimborgo 2016)。高地で起きる体調不良(慢性高山病)のスコアも下がっています。
| 研究 | 測ったもの | 量と期間 | 結果 |
|---|---|---|---|
| Stone 2009 | 40kmの自転車タイム | エキス・14日 | プラセボとの差は出なかった △ |
| Gonzales-Arimborgo 2016 | エネルギー・気分・生活の質 | 黒/赤マカ3g・12週 | プラセボ群より良好 中 |
同じ「元気」でも、聞き方で答えが変わるということです。どちらの結果も事実です。読む側にできるのは、自分に近い条件の研究を選ぶこと。競技のタイムを上げたいのか、夕方までの調子を整えたいのか。目的が違えば、見るべき研究も変わります。
競技タイムでは差が出ず、日常の調子を聞く質問票では報告がある。
物差しが違うだけの話。だから広告の言葉ではなく、種類と1回の量で選ぶ。
精子・妊活はどうなの?

ここは正直に言うと、はっきりしていません。上向きの数字はありますが、比べたときの差としては確認されていません。
健康な男性20人が参加した試験があります 確度 低〜中(Melnikovova 2015)。マカの粉末1.75g/日を12週間続けました。総精子数は20%、精子濃度は14%、精液量は9%と、数字は上を向いています。ただしプラセボ群と比べた差としては確認されていません。ホルモンの値も動きませんでした。二重盲検(本人にも担当医にも、どちらを飲んだか分からないようにする方法)で行われた、20人の小さな試験です。
2022年のメタ分析は、条件を満たす試験を5件集めました 確度 中(Lee 2022)。精子濃度の差は2.22で、幅は−2.94〜7.37。ゼロをまたいでいるので、差があるとは言えない結果です。著者らの結論も「効果ははっきりしない」でした。
2020年の総説も同じ立場です 確度 関連(Alcalde 2020)。判断を下すには、質の高い試験がまだ足りないと書かれています。
| 研究 | 対象 | 量と期間 | 結果 |
|---|---|---|---|
| Melnikovova 2015 | 健康な男性20人 | 粉末1.75g/日・12週 | 総精子数+20%など上向き。比べた差は確認されず △ |
| Lee 2022 | 5件を集めたメタ分析 | 試験ごとに幅あり | 精子濃度の差は2.22(−2.94〜7.37) 中 |
| Alcalde 2020 | 総説 | — | 判断には質の高い試験が足りない △ |
妊活には順番があります。まず精液検査で今の数値を測ること。数・運動率・形が分かれば、次に足すべきものも変わります。測らずに成分を選ぶのは、地図を見ずに歩くのと同じです。
数字は上を向いたが、比べたときの差としては確認されていない。
妊活なら順番が逆。まず精液検査で測り、そのうえで何を足すか決める。
種類と量、どう選べばいい?

見るところは3つだけです。マカの種類、1回に入っている量、そして続ける期間。この3つで迷いは減ります。
まず種類です。マカには黒・赤・黄があり、成分の内訳が違います。研究で使われたのは、黒/赤マカのエキス3g(Gonzales-Arimborgo 2016)、粉末1.5〜3g(Gonzales 2002/2003)、乾燥エキス2,400mg(Zenico 2009)でした。市販品が同じ規格とは限りません。
次に量です。ラベルに「マカ配合」とだけ書かれていると、研究で使われた量に届くのか分かりません。見るべきは、1成分ごとのmgが書いてあるかです。これは商品の良し悪しの話ではなく、確かめられるかどうかの話です。
最後に期間です。上の試験で変化が見えたのは8〜12週の時点でした。数日で判断するには早すぎます。
| 研究 | 形 | 1日の量 | 期間 |
|---|---|---|---|
| Gonzales 2002/2003 | 粉末(ゼラチン化) | 1.5gまたは3.0g | 12週 |
| Zenico 2009 | 乾燥エキス | 2,400mg | 12週 |
| Gonzales-Arimborgo 2016 | 黒/赤マカのエキス | 3g | 12週 |
| Melnikovova 2015 | 粉末 | 1.75g | 12週 |
サプリは食品です。病気の治療や、体の機能を高めることを目的とするものではありません。気になる症状があるときは、まず医療機関へ。
種類・1回のmg・続ける期間。この3つで見れば迷わない。
「マカ配合」だけの表示では、研究で使われた量に届くか確かめられない。
テストステロンという物差しでは、この根っこは測れない。
性欲・勃起・元気の質問票に報告がある成分。だから量が書かれた設計を選ぶ。
よくある質問(FAQ)
マカを飲めばテストステロンは上がりますか?
上がりません。56人の試験でホルモンの値は動かず、試験管でも受容体に結合しませんでした。「T爆上げ」という表現に根拠はありません。
勃起についてはどこまで分かっていますか?
質問票の点数で報告はありますが、試験は2件だけです。差も1点前後と小さく、確かなことは言えません。気になる状態が続くなら受診を優先してください。
妊活には使えますか?
精子の数字が上を向いた報告はありますが、比べた差としては確認されていません。まず精液検査で現状を測るのが先です。
アシュワガンダとどっちがいいですか?
目的が違います。どちらもテストステロンを直接上げる成分ではありません。ストレス方向の報告はアシュワガンダのほうが厚めです。
副作用や飲み合わせは?
食経験のある食品ですが、妊娠・授乳中は避けてください。甲状腺の病気、持病、服薬中の方は医師に相談を。種類と規格の差も大きいので、表示の明確な製品を選んでください。
いちばん多い誤解は「Tが上がる」。ここは人の試験で否定されている。
それでも使われてきたのは、別の軸に報告があるから。だから種類と1回量で選ぶ。
関連:テストステロンを上げる方法(土台の整理)/ マカの神話をもう一度検証する
参考文献
- Gonzales GF, et al. (2003) “Effect of Lepidium meyenii (Maca), a root with aphrodisiac and fertility-enhancing properties, on serum reproductive hormone levels in adult healthy men.” J Endocrinol 176(1):163-168. PMID: 12525260 — 男性56人に1.5gまたは3.0gを12週まで。性ホルモン・下垂体ホルモンに差は確認されず。
- Bogani P, et al. (2006) “Lepidium meyenii (Maca) does not exert direct androgenic activities.” J Ethnopharmacol 104(3):415-417. PMID: 16239088 — マカ抽出物はヒトのアンドロゲン受容体に結合せず、男性ホルモン様の転写活性も示さない。
- Zenico T, et al. (2009) “Subjective effects of Lepidium meyenii (Maca) extract on well-being and sexual performances in patients with mild erectile dysfunction: a randomised, double-blind clinical trial.” Andrologia 41(2):95-99. PMID: 19260845 — 軽度EDの男性50人。乾燥エキス2,400mg/日を12週。IIEF-5の上昇幅はマカ1.6±1.1、プラセボ0.5±0.6。
- Lee HW, Lee MS, Kil KJ. (2023) “Maca (L. meyenii) for erectile dysfunction: a systematic review and meta-analysis.” J Mens Health 19(1):1-6. DOI: 10.22514/jomh.2023.003 — 条件を満たす試験は2件のみ。79人で点数差1.13(0.64〜1.61)。結論には研究数が不足。
- (2023) “Efficacy and Safety of Maca (Lepidium meyenii) in Patients with Symptoms of Late-Onset Hypogonadism: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Clinical Trial.” World J Mens Health 41(3):692. DOI: 10.5534/wjmh.220112 — 80人(マカ41/プラセボ39)を12週。AMS・IIEF・IPSSがプラセボ群より改善。
- Gonzales GF, et al. (2002) “Effect of Lepidium meyenii (MACA) on sexual desire and its absent relationship with serum testosterone levels in adult healthy men.” Andrologia 34(6):367-372. PMID: 12472620 — 12週の試験。8週目から性欲スコアが改善。テストステロン・エストラジオールとは無関係。
- Gonzales-Arimborgo C, et al. (2016) “Acceptability, Safety, and Efficacy of Oral Administration of Extracts of Black or Red Maca (Lepidium meyenii) in Adult Human Subjects: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study.” Pharmaceuticals 9(3):49. PMID: 27548190 — 175人に3g/日を12週。性欲・気分・エネルギー・生活の質のスコアがプラセボより良好。
- Stone M, et al. (2009) “A pilot investigation into the effect of maca supplementation on physical activity and sexual desire in sportsmen.” J Ethnopharmacol 126(3):574-576. PMID: 19781622 — 自転車選手8人・14日。40kmタイムはプラセボとの差なし。性欲スコアはプラセボより改善。
- Shin BC, et al. (2010) “Maca (L. meyenii) for improving sexual function: a systematic review.” BMC Complement Altern Med 10:44. PMID: 20691074 — 4件の試験を統合。良い報告はあるが、数と質が結論には足りない。
- Melnikovova I, et al. (2015) “Effect of Lepidium meyenii Walp. on Semen Parameters and Serum Hormone Levels in Healthy Adult Men: A Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Pilot Study.” Evid Based Complement Alternat Med 2015:324369. DOI: 10.1155/2015/324369 — 20人に1.75g/日を12週。総精子数+20%等の上向きの変化。プラセボとの差としては確認されず。ホルモンも不変。
- Lee HW, et al. (2022) “Maca (Lepidium meyenii Walp.) on semen quality parameters: A systematic review and meta-analysis.” Front Pharmacol 13:934740. PMID: 36110519 — 5件を統合。精子濃度の差は2.22(95%信頼区間 −2.94〜7.37)。効果ははっきりしない。
- Alcalde AM, Rabasa J. (2020) “Does Lepidium meyenii (Maca) improve seminal quality?” Andrologia 52(10):e13755. DOI: 10.1111/and.13755 — 精液所見に関する研究を整理。判断には質の高い試験が不足。
- Gonzales GF. (2012) “Ethnobiology and Ethnopharmacology of Lepidium meyenii (Maca), a Plant from the Peruvian Highlands.” Evid Based Complement Alternat Med 2012:193496. DOI: 10.1155/2012/193496 — マカの民族薬理と臨床研究の総説。






